再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「ねえ、ママ。パパはどこ?」
 

チャペルへと向かう道を息子と手をつないでゆっくり歩く。

入籍していても式が終了するまでは控室は別々となっている。
 
海が見える場所に建てられたこの真新しい結婚式場も嵯峨ホールディングスが経営している。

結婚式場をふたりで探している際に惺さんに教えてもらい、ひと目で気に入ってしまった。

たまたまキャンセルが出て、空きがあったところに予約してもらった。


「パパはね、あの扉の向こう側でママと悟己を待ってくれているのよ」
 

屈んで伝えると、早く会いたいと嬉しそうに笑う。
 
バージンロードはたくさん話し合って、悟己と歩くと決めた。
 
ゆっくりと扉が開かれ、私と悟己は一歩を踏み出す。

たくさんの温かな視線と厳かな空気に迎え入れられ緊張する。
 
繋ぐ手にきゅっと力が込められ、思わず悟己を見ると眩い笑みを浮かべていた。

正面へと視線を動かすとベール越しに、凛とたたずむ惺さんがいた。
 

待っていて、今度は私があなたのもとに行くから。


ずっとそばで守り続けるから。


いつも幸せを与えてくれる愛しい人に向かって、歩き出した。
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