再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
『なにかあればすぐに連絡してください』
ほかにも細かい指示を聞き、通話を終えた。
化粧は最低限に済ませ、着替えてバッグを手に取る。
ドクドクと鼓動がやけに大きな音を立てていた。
母にかいつまんで状況を説明し、大通りに出てタクシーに飛び乗った。
大まかな様子は聞いているのに、心配で落ち着かずタクシーに乗っている時間がとても長く感じられた。
店には渕上さんが連絡していたため、すぐに座敷に通された。
ここは副社長の馴染みの店だという。
「副社長、大丈夫ですか!?」
「……武居?」
座敷に座り込み、頭痛がするのか、こめかみを抑えた副社長が途切れ途切れに声を発する。
顔色はとても悪く、吐く息も荒い。
「ご自宅までお送りします」
「ひとりで帰れる。こんな時間に出歩くな、危ないだろう」
「私よりご自分の心配をなさってください」
副社長の言葉を聞き流し、店主と女将に丁重にお礼を告げる。
ふたりの力を借り、待機してもらっていたタクシーの後部座席に副社長と乗り込んだ。
「……お前、なんで」
「渕上さんの指示です」
「そういう意味じゃない。もし俺が感染力の高い病気だったらどうするんだ」
「すでに毎日長い時間を一緒に過ごしておりますので、その心配は不要です」
間髪入れずに言い返すと、不機嫌そうに眉根を寄せて黙り込む。
ほかにも細かい指示を聞き、通話を終えた。
化粧は最低限に済ませ、着替えてバッグを手に取る。
ドクドクと鼓動がやけに大きな音を立てていた。
母にかいつまんで状況を説明し、大通りに出てタクシーに飛び乗った。
大まかな様子は聞いているのに、心配で落ち着かずタクシーに乗っている時間がとても長く感じられた。
店には渕上さんが連絡していたため、すぐに座敷に通された。
ここは副社長の馴染みの店だという。
「副社長、大丈夫ですか!?」
「……武居?」
座敷に座り込み、頭痛がするのか、こめかみを抑えた副社長が途切れ途切れに声を発する。
顔色はとても悪く、吐く息も荒い。
「ご自宅までお送りします」
「ひとりで帰れる。こんな時間に出歩くな、危ないだろう」
「私よりご自分の心配をなさってください」
副社長の言葉を聞き流し、店主と女将に丁重にお礼を告げる。
ふたりの力を借り、待機してもらっていたタクシーの後部座席に副社長と乗り込んだ。
「……お前、なんで」
「渕上さんの指示です」
「そういう意味じゃない。もし俺が感染力の高い病気だったらどうするんだ」
「すでに毎日長い時間を一緒に過ごしておりますので、その心配は不要です」
間髪入れずに言い返すと、不機嫌そうに眉根を寄せて黙り込む。