再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「好きだ」


ほんの少し体を離し、私の頬を両手で包み込む。

視界に切なげな表情が映り、胸が震えた。

顔を傾けた副社長が私の唇をそっと塞ぐ。

頬を掠めたサラサラの髪の感触と角度を変えて触れる唇に、鼓動が一気に暴れ出す。

唇の輪郭をなぞるような優しい口づけが、少しずつ激しくなる。

幾度となく唇を甘噛みされ、背筋にゾクリとしびれがはしる。

深くなるキスに声が漏れ、力が抜ける。

夢中になって溺れる私の頬とこめかみにそっと口づけた後、再び私を胸の中に閉じ込めた。


「……お前の噂の件や心配事を全部話して」


突然の願い事に強張る体を宥めるように、優しく抱きしめ直される。


「恋人として、お前に関する事柄は全部知りたい。つらいだろうが、教えてくれないか?」


普段とは違う、懇願するような声に心が揺れる。


さらりと言われた、“恋人”という単語に胸が震えて、泣きたくなった。


「私も、お話したいと思っていました。聞いていただけますか?」


「……ありがとう。じゃあこれから家に来てくれないか?」


胸元から顔を上げてうなずくと、副社長は嬉しそうに白い歯を見せた。
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