再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
2.再就職先にはご用心
雪もすっかり解けた四月下旬の水曜日、私は親友の手塚杏実とともに、大学時代に参加していたサークルの同窓会に出席していた。
「なあ武居、どうだ?」
「有難いお話ですが、荷が重すぎます。蔵元先輩に迷惑をおかけするだけですからお断りします」
「他人行儀だな。いつも通り“宗太先輩”って呼べよ」
一年に一度札幌で行われる同窓会は専ら近況報告の飲み会となっている。
最近オープンしたばかりのお洒落なダイニングバーの個室で、私は長い間先輩につかまっている。
「蔵元株式会社の専務を馴れ馴れしく呼ぶわけにはいきません」
「お前は俺の部下じゃないし、可愛い後輩だからいいの」
相変わらずの強引さで、話の主導権を握ってくる。
「勤務先を探しているならちょうどいいだろ。元秘書で、有能なお前にしか頼めないんだよ」
「なんで、私の職探しを知っているんですか……」
「私がこの間偶然東京駅で会って、話したからよ」
黒髪ボブショートヘアの髪を揺らして、親友がワイングラス片手に会話に参加した。
杏実とは大学の講義で隣に座ったのがきっかけで親しくなった。
垂れ目の二重瞼の私とは正反対の、釣り目がちの猫目に、身長百七十センチのすらりとした体が人目を引く美人だ。
足の長さも、身長百五十八センチの私には羨ましすぎる。
「なあ武居、どうだ?」
「有難いお話ですが、荷が重すぎます。蔵元先輩に迷惑をおかけするだけですからお断りします」
「他人行儀だな。いつも通り“宗太先輩”って呼べよ」
一年に一度札幌で行われる同窓会は専ら近況報告の飲み会となっている。
最近オープンしたばかりのお洒落なダイニングバーの個室で、私は長い間先輩につかまっている。
「蔵元株式会社の専務を馴れ馴れしく呼ぶわけにはいきません」
「お前は俺の部下じゃないし、可愛い後輩だからいいの」
相変わらずの強引さで、話の主導権を握ってくる。
「勤務先を探しているならちょうどいいだろ。元秘書で、有能なお前にしか頼めないんだよ」
「なんで、私の職探しを知っているんですか……」
「私がこの間偶然東京駅で会って、話したからよ」
黒髪ボブショートヘアの髪を揺らして、親友がワイングラス片手に会話に参加した。
杏実とは大学の講義で隣に座ったのがきっかけで親しくなった。
垂れ目の二重瞼の私とは正反対の、釣り目がちの猫目に、身長百七十センチのすらりとした体が人目を引く美人だ。
足の長さも、身長百五十八センチの私には羨ましすぎる。