再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
『はあ? なんで最近頻繁に東京に行くのって直接聞けばいいだけじゃない』


昨夜電話で杏実に悩みを打ち明けると、呆れたように言われた。


『無理よ。干渉が嫌いだと最初に言われたもの』


『あの頃とは立場が違うでしょ? ひとりで結論を出して、暗い思考に陥るのは希和の悪い癖よ。答えは本人にしかわからないんだから直接聞きなさい』


ぴしゃりと言い切られる。


『付き合っているんだから、立場は対等なのよ。たまには我がままに、感情のままに振舞えばいいじゃない』


『できないわ。そんな真似をして、嫌われたら……』


『気にしすぎよ。でも東京に希和が引っ越すなら、職探しを手伝うわ。住む場所は私とルームシェアすればいいし』


心配事項にあっさり解決案をくれる親友には本当に頭が上がらない。


『……ごめんね、杏実。いつも情けない相談ばかりして。ちゃんと考える』


自分の問題を親友に解決してもらうなんてダメ、大人として情けなさすぎる。

彼が東京に戻るなら、今後の身の振り方を決めるべきだ。


『そこはありがとう、でしょ。いざというときはちゃんと頼って。私は希和と近くで生活できたら嬉しいだけよ』


どこまでも思いやり深い親友に胸の奥が熱くなった。

そして、今度の休日に彼と話そうと決意した。
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