再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「魅力的な方ですもの。遊び相手がいるのは仕方ありませんが、そろそろ返していただけません? 今後うちとの提携事業もありますし醜聞は困るんです。十分素敵な思いをなさったでしょう」


なにを言われたのか、咄嗟に理解できなかった。

ただ惺さんと私の関係が知られていることだけは確信した。


「惺さんは年明けには東京に戻ります。そのとき正式に婚約を発表しますので」


「……そんな話はひと言も……交際なんて……」


頭の中が真っ白で、きちんと順序立てて話せない。

鼓動がうるさいくらいに耳に響く。


「遊び相手にわざわざ真実を話すわけないでしょう? 評判の悪い女に彼が本気になると思っていたの? 図々しさに驚くわ」


舘村さんは嘲るような口調で告げ、自身のスマートフォンを操作し、私に見せた。


「先日、彼と都内で食事をしたときの写真です。ほかにもありますよ」


店員が撮影したのか、画面にはふたりが向かい合って食事を楽しんでいる様子が映し出されていた。


この日は、本社で仕事って言ってなかった? 


舘村さんに会うための噓だった?


心が凍りつき、体が強張っていく。
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