再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「ふたりきり、ですか……?」
確認しても仕方ないのに、なにを尋ねているんだろう。
「当り前でしょう? お疑いなら、どうぞこれを」
舘村さんは嫌悪の滲む目で私を見て、バッグからICレコーダーを取り出した。
聞こえてきたのは惺さんの声だった。
『彼女には札幌に戻り次第話しますし、東京には来させません』
『本当ですか?』
『ええ、あなたとの婚約についてはきちんと考えていますよ』
『離れていたとしても同じ会社で働くなんて……出張もあるでしょうし、不安です』
『ならば彼女には、関連会社への異動か転職を勧めます』
耳にした言葉が信じられなかった。
血の気が一気に引いて、膝の上に置いた指が震えるのを止められなかった。
「おわかりになりました? 私の婚約者を恨まないでくださいね」
動揺を隠しきれない私に満足したのか、舘村さんが口元を緩める。
スマートフォン、レコーダーをバッグに収納し、話は終わりとばかりに立ち上がる。
「破談になれば事業提携は白紙よ。彼の地位が脅かされて、後継者になれないでしょうね」
綺麗にアイシャドウを塗った目を細めてやんわりと言い放つ。
耳にした情報の恐ろしさに吐き気がする。
「散々いい思いをしたんだから身の程をわきまえて、彼には金輪際関わらないで」
先ほどとは一転した強い口調で言い捨てて、去って行く。
残された私はただ呆然とその場に座り込んでいた。
確認しても仕方ないのに、なにを尋ねているんだろう。
「当り前でしょう? お疑いなら、どうぞこれを」
舘村さんは嫌悪の滲む目で私を見て、バッグからICレコーダーを取り出した。
聞こえてきたのは惺さんの声だった。
『彼女には札幌に戻り次第話しますし、東京には来させません』
『本当ですか?』
『ええ、あなたとの婚約についてはきちんと考えていますよ』
『離れていたとしても同じ会社で働くなんて……出張もあるでしょうし、不安です』
『ならば彼女には、関連会社への異動か転職を勧めます』
耳にした言葉が信じられなかった。
血の気が一気に引いて、膝の上に置いた指が震えるのを止められなかった。
「おわかりになりました? 私の婚約者を恨まないでくださいね」
動揺を隠しきれない私に満足したのか、舘村さんが口元を緩める。
スマートフォン、レコーダーをバッグに収納し、話は終わりとばかりに立ち上がる。
「破談になれば事業提携は白紙よ。彼の地位が脅かされて、後継者になれないでしょうね」
綺麗にアイシャドウを塗った目を細めてやんわりと言い放つ。
耳にした情報の恐ろしさに吐き気がする。
「散々いい思いをしたんだから身の程をわきまえて、彼には金輪際関わらないで」
先ほどとは一転した強い口調で言い捨てて、去って行く。
残された私はただ呆然とその場に座り込んでいた。