再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「どうしても、産みたいんです。赤ちゃんのためならどんな苦労も受け止めます。お願いです。副社長には言わないでください」


子どもを育てた経験もないのに甘い考えだと、世間知らずだと、重々理解している。

それでも赤ちゃんを失いたくない。

私の必死の懇願にふたりは顔を見合わせる。

しばらくして沢野井さんが口を開いた。


「本気なのね? 出産、育児は簡単じゃないしおままごとでもないわ。嫌になったからといって放り出したりはできないし、大げさに言えば二十四時間かかりっきりのときもある。これまでの人生、生活、優先順位ががらりと変わるの」


「はい」


「しかも、ひとりよ? 想像以上に大変だし、全部を背負う覚悟はできているの?」


「知識も経験も不足していますが、これから必死で勉強します。なにがあってもこの子を守って、絶対に手放しません」


迷いはなかった。


「私は独身だけど、姉さんには大学生の息子がいるのよ。今は海外留学中で不在だけどね。わからないことがあれば、姉さんに尋ねなさい」


「え……」
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