再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
先輩には就職先を紹介してもらった恩があるので、札幌を発つ間際に謝罪の連絡をした。
急な退職に驚いていたが体調不良だと伝えたせいか、とても心配された。
『希和の退職は嵯峨副社長の婚約が原因かって聞かれてね、居場所を知っているなら教えてほしいって何度も言われたのよ』
なぜ四年も経った今になって?
『一方的に希和から連絡は時折来るけれど、住所は知らないと答えたわ。逆に、なんで捜すのか尋ねてみたの』
先輩は樋浦さんが私を快く思っていないと知っている。
悪評の件も感づいているのではと杏実は常々口にしていた。
『上手くはぐらかされたけど、誰かに頼まれている様子だったわ』
『誰かって……?』
『恐らく嵯峨副社長だと思うわ。舘村さんとの婚約は先輩曰く、白紙状態だそうよ』
衝撃的な情報に息を呑んだ。
なぜ、白紙なのだろう。
今日まで、できるだけ彼の情報を耳に入れないように生活してきた。
逃げた身としては、彼の動向を把握しておくべきだろうが、どうしても割り切れなかった。
彼が誰かと結婚する姿を、愛し合う現実を知りたくなかったから。
親友は念のため、ニュースや噂を頼りに調べたという。
急な退職に驚いていたが体調不良だと伝えたせいか、とても心配された。
『希和の退職は嵯峨副社長の婚約が原因かって聞かれてね、居場所を知っているなら教えてほしいって何度も言われたのよ』
なぜ四年も経った今になって?
『一方的に希和から連絡は時折来るけれど、住所は知らないと答えたわ。逆に、なんで捜すのか尋ねてみたの』
先輩は樋浦さんが私を快く思っていないと知っている。
悪評の件も感づいているのではと杏実は常々口にしていた。
『上手くはぐらかされたけど、誰かに頼まれている様子だったわ』
『誰かって……?』
『恐らく嵯峨副社長だと思うわ。舘村さんとの婚約は先輩曰く、白紙状態だそうよ』
衝撃的な情報に息を呑んだ。
なぜ、白紙なのだろう。
今日まで、できるだけ彼の情報を耳に入れないように生活してきた。
逃げた身としては、彼の動向を把握しておくべきだろうが、どうしても割り切れなかった。
彼が誰かと結婚する姿を、愛し合う現実を知りたくなかったから。
親友は念のため、ニュースや噂を頼りに調べたという。