再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「今日は急ぎの仕事はないし、帰って少し休みなさい。保育園のお迎えは無理そうなら私が行くから連絡して。ひとりでもう一度よく考えるのよ」


「……すみません」


「こういうときはありがとう、よ。ほら、早く帰りなさい。また来週からよろしくね」


促され、バッグを手に取った。

春香さんは私の休みを、繁忙期以外はカレンダー通りに設定してくれている。

いつまでも迷惑をかけてばかりなのが心苦しい。

四年も経つのに、あの人はこんなにも簡単に私の心をかき乱す。

店を出て歩道を歩き出すと、少し先の道路側に黒塗りの高級車が停まっているのが目に入った。


「希和」


車から降りた長身の男性が私の名前を呼ぶ。


まさか……。


嫌な予感に背中を冷たい汗が伝う。


もう、私の居場所がわかったの? 


「今度は、逃がさない」


予想外の事態に動けずにいる私との距離を数歩で詰め、素早く手首を掴む。

触れられた大きな手の懐かしい感触に鼓動が暴れ出し、一気に体温が上がった気がした。
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