再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「……甘いな」


キスの合間に、器用に彼がつぶやく。

唇を離し、ぺろりと自身の上唇をなめる。

妖艶な眼差しに絡めとられ、ゾクリと背中がしびれる。


「なんで……急にキス……!」


「希和は俺のものだろう? むしろ四年も待った俺を褒めてほしいくらいだ」


口づけで濡れた唇を彼の親指が軽くなぞる。

漂う色香に魅入られてすぐに反応できない。

体温がさらに上昇し、胸の奥が甘く疼く。

頬とこめかみ、首筋にキスの雨を降らされ、うまく呼吸ができなくなる。


「……そんな顔をするな。我慢できなくなる。ずっと触れたかったから」


至近距離で切なげにささやかれ、目を見開く。

状況が理解できない。


「なに……を言って……」


「もう少しで着く。覚悟していろよ」


物騒な台詞とは対照的に、落ちてきたキスは優しくて混乱する。


覚悟って、なに?


まさか、抱くつもり? 


どうして? 


それほど怒っているの?


とんでもない予測に体が震える。


「……ひどい真似はしたくない。頼むから抵抗しないで、希和」


そんな言い方はズルい。

掠れた、寂しげな声に抗えず深い息を吐いた。
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