再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
「ちょっと、待って……なんで……っ」


抗議の声がキスでかき消される。

真上から落ちてくる口づけに抵抗できない。

唇を甘噛みされ、舌で軽くつつかれる。

必死に唇を引き結ぶと、彼がとろりと甘い声でささやく。


「入らせて、希和」


さらに唇の端にキスを落とされて、ビクンと肩が跳ねた。


「あ……」


思わず声が漏れた。

その瞬間を待ちわびていたように、深いキスを仕掛けてくる。

呼吸や反論の一切を容赦なく奪うような口づけに、頭がくらくらする。

耳に響く水音に恥ずかしさがこみ上げた。

触れる唇の感触に懐かしい日々を思い出す。

同時に胸を抉るような激しい痛みに喉がひりつく。


どうして、こんなキスをするの? 


「やめて……っ……」


顔を背けようとするも、彼の唇は私を逃さない。


「……言っただろ? お前は俺のものだと。だから、やめない」


先ほどとは打って変わって、氷のような冷たい声に体の奥底が震える。


「い……やっ……」


拒絶すると一瞬、綺麗な目が悲しそうに揺れた。


「嫌がっても、もう二度と離さない」


淡々と告げるくせに、私を抱く腕はとても優しく丁寧だ。

矛盾する言葉と態度に違和感が拭えない。
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