飛べない小鳥は見知らぬ運命の愛に震える
到着した琴鳥は、会場がある大きなビルを見上げた。
都会的なシャープなデザインの高層ビルだ。9月の明るい日差しの中、堂々とそびえている。「被害者の会」は、この6階の会議室を借りて行われているという。
おしゃれだが無機質なロビーを通り過ぎ、エレベーターに乗る。
目的の階に着くと、くすんだ水色の絨毯がしきつめられた廊下が伸びていた。その両サイドに白っぽい壁があり、扉が並ぶ。
友達からのメッセージで送られた部屋の番号を探す。番号より先に「オメガによる被害者の会」との札が立つ部屋を見つけた。
そっと覗いてみる。
スーツの男性がいた。10人ほどだろうか。
その1人と目が合う。
直後、睨まれた。
すぐに顔をひっこめる。
なんで睨まれるのかわからなかった。
帰ろうと踵を返した瞬間、肩をつかまれた。
「お前オメガだろ、何しに来た」
振り返ると、さきほどの男性がぎらついた目で彼女を見下ろしていた。
「あ、あの……」
「オメガだぞ!」
琴鳥の腕を引っ張り、部屋に引きずりこむ。
「ふざけんな、オメガがなんでここに!」
「やられに来たのかよ」
「だからオメガは!」
「お前らのせいで人生が歪んだアルファがどれだけいると思ってるんだ!」
部屋が憤怒と憎悪だけで満たされる。
恐怖で身がすくみ、動けなかった。
「オメガのせいで俺は!」
1人が腕をふりあげる。
殴られる!
ギュッと目を閉じた瞬間、
「やめたまえ」
低い女性の声が柔らかく降ってきた。
目を開けると、女性の背中があった。
男の腕を抑え、琴鳥をかばって立っていた。桜色のネイルの黄色いストーンがきらりと光る。
都会的なシャープなデザインの高層ビルだ。9月の明るい日差しの中、堂々とそびえている。「被害者の会」は、この6階の会議室を借りて行われているという。
おしゃれだが無機質なロビーを通り過ぎ、エレベーターに乗る。
目的の階に着くと、くすんだ水色の絨毯がしきつめられた廊下が伸びていた。その両サイドに白っぽい壁があり、扉が並ぶ。
友達からのメッセージで送られた部屋の番号を探す。番号より先に「オメガによる被害者の会」との札が立つ部屋を見つけた。
そっと覗いてみる。
スーツの男性がいた。10人ほどだろうか。
その1人と目が合う。
直後、睨まれた。
すぐに顔をひっこめる。
なんで睨まれるのかわからなかった。
帰ろうと踵を返した瞬間、肩をつかまれた。
「お前オメガだろ、何しに来た」
振り返ると、さきほどの男性がぎらついた目で彼女を見下ろしていた。
「あ、あの……」
「オメガだぞ!」
琴鳥の腕を引っ張り、部屋に引きずりこむ。
「ふざけんな、オメガがなんでここに!」
「やられに来たのかよ」
「だからオメガは!」
「お前らのせいで人生が歪んだアルファがどれだけいると思ってるんだ!」
部屋が憤怒と憎悪だけで満たされる。
恐怖で身がすくみ、動けなかった。
「オメガのせいで俺は!」
1人が腕をふりあげる。
殴られる!
ギュッと目を閉じた瞬間、
「やめたまえ」
低い女性の声が柔らかく降ってきた。
目を開けると、女性の背中があった。
男の腕を抑え、琴鳥をかばって立っていた。桜色のネイルの黄色いストーンがきらりと光る。