ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 全身メルヴィカラーで染めた私が並んでいるのだ、流石の私もその可能性が高いと察しごくりと唾を呑んだ。

 これが『外堀から埋められる』ということなのか、なんてくだらないことが頭を過り――


「彼女が、私の未来の恋人です!」

 メルヴィの澄んだ声がハッキリと会場へ響き、そしてその発言内容に会場中が静まり返る。

“ワタシガ、カレノ、ミライノ、コイビト……”

 ぐわんぐわんと歪む脳内で反芻するが、どう思い返しても彼はそう口にした。


「み、未来の妻、とかじゃなく?」
「まだリリからオッケー貰ってないし」
「で、でもここで発表するって……」
「そうだよ、今からこの子を絶対口説き落とすからっていう決意表明」
「その決意表明、いる!?」

 わざわざ貴族たちを集めての発表が、まさかこんな発表だとは流石に考えておらず愕然としてしまう。

“せめて表向きだけでも婚約発表とか……!”

 なんて思うが、そこは王族。
 魔法が解け、間違いだったと気付いても婚約破棄などは色々と問題が出る可能性もある。
 そこを考えれば、これは最善だったのかもしれないが。
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