ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 だがその性質上一ヶ所に留まる魔女は少なく、そしてそんな魔女と恋人になります宣言を王太子がしたのだ。

“もしかして遠回しに去れとか言われるのかしら”

 将来、籍だけ置いて本人は世界のどこにいるかもわからないような厄介な存在とはさっさと決別させるべきだと考えるのは、この国の王としても、そして一人の父親としても正解で……

 
「まさかメルヴィは、君を監禁したりとか……してないよね?」
「かんきん」
「父上、流石にそこまではしていません。せいぜい軟禁です」
「なんきん」

“これ、どういう会話なの”

 またもや想定外の、そして意味のわからない会話に呆然とする。

「だってそうだろ? 魔女は一ヶ所に留まらないのにここにずっといるってことは、お前が無理矢理囲ってるからなんじゃと心配してだな」
「だ、大丈夫です! 街にも行きましたし、部屋から出られないとかでもありませんのでっ」
「ならいいんだが……」

 慌ててそう弁解すると、少しホッとした表情になった陛下に逆に申し訳なくなる。
 本当に心配してくれているようで、そして敬遠されなかったことに私も少しホッと安堵の息を吐いた。

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