ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「ちゃんとあのソファで降りれたのに」
「ははっ、俺も疑ってはいないよ」
「ダニエルは疑ったじゃない」

“だから降りる許可が出なかったのだけど”

 確かに私は失敗ばかりではあるけれど、飛べたのだから降りれるはず。

「メルヴィの危険が、ってことなら私だけソファで降りる方法もあったわ」
「それはダメ」

 そのパターンなら許可が出たのでは、と気付いた私の発言を聞いたメルヴィに、間髪いれず却下された私は一瞬ぽかんとしてしまい。
 
「リリが一人で降りたら、他の男に囲まれるかもしれないだろ」
「……はい?」

 更に続けられた言葉で唖然とした。

“失敗する可能性を考えて、じゃなく、他の男の人に?”

 彼の側近が危惧し、許可を出さなかった理由は絶対別で。
 それに気付いているのかいないのかはわからないけれど。

“メルヴィはそんなことを思っていたの?”

 そう思うと、やっぱり嬉しさが私の中で溢れ出す。
 この状況が今だけでも、この状況に流されるのは後々虚しくなるだけなのだとしても。


「……メルヴィは、本気って言ってくれたものね」
「リリに魔法をかけられる前からずっと想っていたからね」
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