ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
魔法が成功したのか聞かれたと察した私が、どこか気まずく思いながらメルヴィへ視線を向けると、不服そうに眉をひそめたメルヴィと目が合う。
「……リリ?」
こんなピリついた空気に気付いてないのか、それともこんな空気には興味がなくスルーしているのか、師匠はきょとんとした顔をしてメルヴィに向かって口を開いた。
「彼女の名前はリリアナだ。もしかして記憶力が悪いのか?」
「愛称ですよ! 親しみを持ってそう呼んでるんです!!」
「つまりたった四文字が覚えられない、と」
「だから違うと言っているでしょう!?」
“わぁ……”
苛立ちを露にするメルヴィとは打って変わり、素なのかなんなのか、全く悪気のなさそうな顔をする師匠に滲んだ冷や汗がつつ、と流れて。
「じゃあ、行くか」
そんな私たちにはもう興味を失ったのだろう。
さらっとそんなことを断言した師匠が私に手を差し伸べた。
「行くって」
「次の場所に、だ。連れて行ってくれと言っていたのはリリアナだろう」
「それは、その」
「魔法が使えるようになったのなら問題ない。俺は次の鉱山へ向かう予定だ」
「……リリ?」
こんなピリついた空気に気付いてないのか、それともこんな空気には興味がなくスルーしているのか、師匠はきょとんとした顔をしてメルヴィに向かって口を開いた。
「彼女の名前はリリアナだ。もしかして記憶力が悪いのか?」
「愛称ですよ! 親しみを持ってそう呼んでるんです!!」
「つまりたった四文字が覚えられない、と」
「だから違うと言っているでしょう!?」
“わぁ……”
苛立ちを露にするメルヴィとは打って変わり、素なのかなんなのか、全く悪気のなさそうな顔をする師匠に滲んだ冷や汗がつつ、と流れて。
「じゃあ、行くか」
そんな私たちにはもう興味を失ったのだろう。
さらっとそんなことを断言した師匠が私に手を差し伸べた。
「行くって」
「次の場所に、だ。連れて行ってくれと言っていたのはリリアナだろう」
「それは、その」
「魔法が使えるようになったのなら問題ない。俺は次の鉱山へ向かう予定だ」