ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
19.石鹸の使い方
ガチャ、と乱暴に小部屋の鍵が開けられ部屋へ入ったと思ったらすぐにバタンと閉じられる。
後ろ手でガチャンと鍵が掛けられた音に気付いた私はゴクリと唾を呑んだ。
“え、え? この流れで?”
今日の最終目的地はこの小部屋だったし、それも誘ったのは私の方だった。
だからこの流れは私的には問題ない……の、だが。
「あの師匠を選ぶのか?」
「メルヴィ?」
けれどそれは、こんなに辛そうなメルヴィと、ではなかったはずで。
「ね、ちょっと話そう。何にそんなに怒ってるの」
ピリピリとした空気を変えるべくそう口にするが、それ以上口を開かない彼に戸惑う。
“どうしたらいいのかしら”
なんとか空気を変えたいと思った私は、必死に脳内で記憶を巡らせ話題を探し――
「そうだ、メルヴィが買った石鹸って何だったの?」
「石鹸?」
「ほら、二人で街に行ったとき、石鹸を買ったじゃない」
あの時も最終はこの部屋だったが、今と雰囲気は全然違いピリつくのではなく甘く包まれるようだった。
だからこそ、いつものメルヴィに戻って欲しくてこの話題を振ったつもりだったのだが。
「なら、使ってみようか」
後ろ手でガチャンと鍵が掛けられた音に気付いた私はゴクリと唾を呑んだ。
“え、え? この流れで?”
今日の最終目的地はこの小部屋だったし、それも誘ったのは私の方だった。
だからこの流れは私的には問題ない……の、だが。
「あの師匠を選ぶのか?」
「メルヴィ?」
けれどそれは、こんなに辛そうなメルヴィと、ではなかったはずで。
「ね、ちょっと話そう。何にそんなに怒ってるの」
ピリピリとした空気を変えるべくそう口にするが、それ以上口を開かない彼に戸惑う。
“どうしたらいいのかしら”
なんとか空気を変えたいと思った私は、必死に脳内で記憶を巡らせ話題を探し――
「そうだ、メルヴィが買った石鹸って何だったの?」
「石鹸?」
「ほら、二人で街に行ったとき、石鹸を買ったじゃない」
あの時も最終はこの部屋だったが、今と雰囲気は全然違いピリつくのではなく甘く包まれるようだった。
だからこそ、いつものメルヴィに戻って欲しくてこの話題を振ったつもりだったのだが。
「なら、使ってみようか」