ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「つまり私、めちゃくちゃ面食いだったってこと……!?」
「俺の顔がリリの好みで嬉しいな」
「ひぇっ、聞こえ……わ、凄い」

 いつから口に出ててしまっていたのかはわからない。
 だが顔しか興味がないとも取れるような、どちらかといえば失礼な類いの話だったにも関わらずメルヴィはにこやかに微笑んでいて。


「気に入った?」
「これ、全部薬草ですか?」


 そんな殿下に手を引かれていた私は気付けば薬草畑に連れられていた。

「わぁ、珍しい薬草もいっぱいじゃないですか!」
「あぁ、他国からも取り寄せたんだ」
「でも、なんで王城に薬草畑?」

“普通王城の庭園っていったら薔薇とかなんかそういう豪華な花なんじゃないかしら”

 薬草は、そのまま葉や花を薬として使えるものもあれば煎じたりすり潰したりする必要があるものもある。

 ただ共通して言えるのは見た目が『地味』だということ。
 輝かしい王城の顔として選ばれるには少し不向きと言えるだろう。

“それなのにここにあるのは全て薬草なのね”


 研究目的?
 それとも薬草が必要な理由があるの?

 ――こんなの、気になっちゃうじゃない!

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