ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
その頃はわからなかったから、私はある日家を出る母の後をこっそりと追ったのだ。
十歳に満たない足取りで大人の歩幅に追いつけるはずもなかった私はあっさりと母を見失い、そして森の中で独りぼっちになった。
帰り道も、進むべき道もわからない。
そんな時出会ったのが、私より少しだけ年上の少年だった。
質のいい帽子を深くかぶり髪色はよくわからなかったが、きっと明るい茶色だったのだろう。
そして瞳の色は紺だった。
『そこで何をしているの』
その時声をかけたのは私だった。
私の声に驚いた少年は何故か青ざめていて、そして、泣いていた。
『私は魔女だから、あなたの不安を取り除いてあげるわ』と、彼に抱き着いた。
「不安だったのは私のほうだったのに」
もっともらしい言い訳をした幼い私は、母を見失いここがどこかもわからない不安を抱えていた。
だからこそ、彼を見付けて安心し、そして私と同じく不安そうな彼を抱きしめたのだ。
“きっとあの子は私と違ってそこがどこだかはわかっていたわ。だって私の話を聞き、家まで送ってくれたんだもの”
十歳に満たない足取りで大人の歩幅に追いつけるはずもなかった私はあっさりと母を見失い、そして森の中で独りぼっちになった。
帰り道も、進むべき道もわからない。
そんな時出会ったのが、私より少しだけ年上の少年だった。
質のいい帽子を深くかぶり髪色はよくわからなかったが、きっと明るい茶色だったのだろう。
そして瞳の色は紺だった。
『そこで何をしているの』
その時声をかけたのは私だった。
私の声に驚いた少年は何故か青ざめていて、そして、泣いていた。
『私は魔女だから、あなたの不安を取り除いてあげるわ』と、彼に抱き着いた。
「不安だったのは私のほうだったのに」
もっともらしい言い訳をした幼い私は、母を見失いここがどこかもわからない不安を抱えていた。
だからこそ、彼を見付けて安心し、そして私と同じく不安そうな彼を抱きしめたのだ。
“きっとあの子は私と違ってそこがどこだかはわかっていたわ。だって私の話を聞き、家まで送ってくれたんだもの”