ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「実は誘き寄せた――」
「待って! 言わないで、当てるからっ」

 理由を話そうと口を開いたメルヴィの言葉を慌ててむぎゅっと物理的に塞ぐ。
 そのままもう一度ゆっくり薬草畑を見渡した。
 

「……のはいいけど、そもそも薬草って詳しくないのよねぇ」
「えっ!」
「?」

 口を覆ったままだからか、彼から少しくぐもった声が漏れて思わず首を傾げつつ手を離す。

「でもさ、魔女って薬草とか煎じるんじゃないの?」
「えー、しなくはないですけど、それ薬師の仕事では?」
「それはまぁ……確かに」

 焦ったように聞いたメルヴィは、私の答えを聞いて納得したのかどこか呆然としつつすぐに頷いて。


「じゃあ、この薬草畑を見てリリはどう思った?」
「私、ですか?」

“どう思ったって聞かれても……”


 華やかな花を植えずにあえて地味な花を植えた理由。
 それはもちろん『薬草』だからだと思うのだが、植えられている薬草は効能もバラバラで統一感はない。

「そうですねぇ、単純にコレクター?」
「その結論の理由は?」
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