ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
“純血の人間にはわからない感覚でしょうね”

 
「でもリリは」
「ねぇ、気付いてる? 私の魔法が成功する前提条件」
「前提条件?」

 混乱しているのか少し彼の紺の瞳が揺れる。
 
「私の魔法が成功した時すべてに、メルヴィ。貴方が関係していたわ」
「俺……?」

 さっきは不安そうに揺れていたのに、今度は驚き見開かれる紺の瞳。
 キラリと輝いて見えたのは見間違いかあもしれないけれど。


「そう。ここに辿り着けたのもメルヴィの元に行きたいと願ったからだし、ソファで飛んだ時もメルヴィが一緒だった」
「だ、だがリリは箒でも飛んでいただろ。あの時は一人だった」
「そうね。一人だったから制御できなかったんだわ」

 思い起こすようにひとつずつ答え合わせをしていく。

“きっとメルヴィは全問不正解だわ”

 そう思うと少し可笑しくて、思わず小さく吹き出した。


「幼いメルヴィに言った言葉は、本当にそんな疑問を持ち気になっただけなの。だって私は魔女だから、気になったことは知りたくてなんでも聞いちゃうから」

 だから、その私の言葉にどんな感想を持っても構わなかったのだ。
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