ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「だって薬草が必要な人がいるなら効能は同じものが植えられるだろうし、それにそもそも王宮には医師くらいかなって。なら薬草より医師を頼るはず」
「ハズレ」
「えぇーっ!?」

“流石に短絡的だったかしら”

 あっさりと否定された私は右手を顎に当ててもう一度薬草畑へと視線を移す。


 けれどやはり統一感のないこの畑からは何も思い付かなくて。

「うぅーん、シンプルに誰かが薬草好き、とか」
「半分正解?」
「えぇっ、疑問系!」

 何故か少し自信なさげにそう言われ思わずツッコんでしまうが、そんなやり取りのどこが楽しかったのかメルヴィはケラケラと笑い出してしまった。

 
“笑ってると幼くみえるんだ”

 薄茶の髪が光に透けてまるでプラチナブロンドのように輝き、楽しそうに細まる紺の瞳は濃紺から淡い青へとグラデーションになっていることに気付く。
 その色がまるで澄んだ空のようで目を奪われた。


「ふふ、正解はね……、リリ?」
「あ、えっ?」

 じぃっと魅入ってしまったせいで反応が遅れた私を見たメルヴィは少し不思議そうにして。

「あれ、興味そそられなかったかな」
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