ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 室内に足を踏み入れようとしないメルヴィの腕を無理やり引っ張り、ベッドまで連れてきた私はそのまま彼の体に抱きついた。


「私は、メルヴィに興味を持った魔女なのよ。気になる気持ちに抗えないの」

 だから。

「改めて教えて、貴方に愛されるということを」


 そう言った私が再び彼の首に腕を回すと、すぐに唇が重なった。
 さっきと違うのは、私が彼の舌を受け入れたことだけで。


 くちゅりと音が漏れ、彼の舌が私の舌を扱くようにしっかりと絡められる。
 少し顎の角度を変えてより深く重なった唇は、少しの酸素すら逃がさないようにぴったりと引っ付いていて。

 
「――、ッ、ひゃあ……!?」

 唐突に抱き上げられた私は、まるで壊れ物のように大切にそっとベッドへと寝かされた。

 ギシリと軋んだ音と共に彼もベッドに膝を乗せ、そのままバサリと服を脱ぎ捨てる。

 上裸になった彼にそっと肩を押された私は呆気なくベッドに転がって。


「ん、んん……っ」

 組み敷くように覆い被さった彼に再び唇が奪われた。

 
「リリ……ッ」
「んぁっ」

 口付けの合間に何度も繰り返し名を呼ばれる。
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