ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「私は魔女よ。興味を惹かれたものから離れられないの」
「うん」
「興味の湧いたものに夢中になってしまうから」

 
 ふふ、と笑うと一瞬きょとんとしたメルヴィもすぐにふはっと吹き出すように笑った。
 きっとこんな時間を、こんな日々を。

 君となら過ごしていけるから――


 これがポンコツな魔女である私が見つけた、最初で、きっと最後になる淡くて大切な恋の物語なのだろう。


“この先何があってももう忘れたりはしないわ”

 だって気になって気になって仕方がない。

 これは魔女の性であり魔女の本質で魔女の習性。
 抗えない私の真実。


「私、メルヴィに夢中みたい!」

 私の言葉でじわりと頬を赤くする彼が、何よりも愛おしく何よりも大切だから。


 掠めるだけの口付けを交わし、笑い合う。
 彼と重ねるこれから先の全ての時間も、私は気になって仕方がないのだから。
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