ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
エピローグ:王様と魔法使い
――ある者は言った。
人間と魔女は同じものだと。
――ある者は言った。
人間と魔女は異なるものだと。
そんなことどうでもいいと感じるのは、興味があることに抗えないという魔女の性質のせいで。
“そう考えると、やっぱり魔女と人間は違うのかもしれないわね”
なんて考え笑ってしまった。
「何が可笑しい?」
突然笑った私に怪訝な顔を向けるのは輝くような銀髪に琥珀色の瞳の美丈夫であり、そしてポンコツであるかどうかは置いておいて、一応は魔女のはしくれである私の魔法の師匠。
純血の魔法使いテオ・ニコラだった。
「笑顔が可愛いという話では?」
「俺は今笑ってないが」
「リリのことですよ!」
「この間も言っただろう。リリではない、リリアナだ。たったの四文字が記憶できないなんて……この国の未来は大丈夫なのか?」
「愛称という言葉をご存じではないのかと先日も言ったと思ったんですけどね」
そしてそんな師匠へ噛みつくように反論するのは、ふわりと揺れる明るい薄茶髪に紺色の少し垂れ目のこの国の王太子、メルヴィ・ゲルベルクである。
「ちょっと、こんな時に喧嘩とかしないでよ」
人間と魔女は同じものだと。
――ある者は言った。
人間と魔女は異なるものだと。
そんなことどうでもいいと感じるのは、興味があることに抗えないという魔女の性質のせいで。
“そう考えると、やっぱり魔女と人間は違うのかもしれないわね”
なんて考え笑ってしまった。
「何が可笑しい?」
突然笑った私に怪訝な顔を向けるのは輝くような銀髪に琥珀色の瞳の美丈夫であり、そしてポンコツであるかどうかは置いておいて、一応は魔女のはしくれである私の魔法の師匠。
純血の魔法使いテオ・ニコラだった。
「笑顔が可愛いという話では?」
「俺は今笑ってないが」
「リリのことですよ!」
「この間も言っただろう。リリではない、リリアナだ。たったの四文字が記憶できないなんて……この国の未来は大丈夫なのか?」
「愛称という言葉をご存じではないのかと先日も言ったと思ったんですけどね」
そしてそんな師匠へ噛みつくように反論するのは、ふわりと揺れる明るい薄茶髪に紺色の少し垂れ目のこの国の王太子、メルヴィ・ゲルベルクである。
「ちょっと、こんな時に喧嘩とかしないでよ」