ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「それ、恋してるんじゃない?」
「恋?」
掘り出した鉱石の表面につく不純物を魔法で除くというのが主に俺の仕事で、そしてそんな俺の元にせっせと発掘した鉱石を運ぶのが彼女、レベッカ・ハンソンだ。
邪魔だからと短く刈り上げた栗色の髪にまるでアメジストのような神秘的な紫の瞳を持つ彼女は俺の同僚であり俺にこの仕事を紹介してくれた人でもある。
俺より九つ上の彼女は現在二十五歳だった。
「そう、恋! 一人の女の子が気になるなんて成長したじゃない、この鉱石バカ」
「その言葉をそのまま返そう。お前も鉱石バカだからその年になっても未婚なんだろう」
「失礼ね!?」
ハッキリそう言ってやると、その紫の瞳を釣り上げた彼女が怒りの感情を露にする。
興味のあることにしか心を動かされない魔法使いの血が濃い俺は、興味がないことでは心が動かず表情も変わらないためくるくる変わる彼女のその表情が興味深かった。
「その女の子、いくつなの? 一緒に住むことになったのよね、同棲ってやつ?」
「同棲ではない、共存だ。あとリリアナの年齢だったか」
「リリアナちゃんっていうんだぁ。同棲って言われるのが恥ずかしいの? いいわねぇ、甘酸っぱぁい!」
「十歳」
「待ちなさい」
リリアナの年齢を聞いたレベッカががしっと俺の肩を掴む。
“質問に答えただけなんだが”
わけがわからず首を傾げると、何故か少し青ざめたような表情で俺の顔を覗き込まれた。
「攫ったんじゃないわよね」
「攫うの意味がわからん」
「気になった女の子をどこからか無理やり連れて来たんじゃないわよね?」
「いや興味なんてないが」
ない、と断言しようとした俺は、だが多少なりとも興味を惹かれたことを思い出して。
「さっきのは訂正だ。リリアナに興味を惹かれたのは違いない。だが、俺の意思で連れて来たんじゃなく勝手にあいつの母親が置いて行ったんだ」
「そんな!」
さっきまで青ざめていた顔が今度は一気に悲壮感を漂わせる。
「まぁ、相手が十歳だとしても年齢差は六歳だし……許容範囲かしら」
「許容範囲?」
「でも手は出しちゃダメよ! お姉さまとの約束だから」
そして勝手に納得したらしいレベッカがパァッと表情を明るくして次の鉱石を掘るべく持ち場に戻っていった。
「恋?」
掘り出した鉱石の表面につく不純物を魔法で除くというのが主に俺の仕事で、そしてそんな俺の元にせっせと発掘した鉱石を運ぶのが彼女、レベッカ・ハンソンだ。
邪魔だからと短く刈り上げた栗色の髪にまるでアメジストのような神秘的な紫の瞳を持つ彼女は俺の同僚であり俺にこの仕事を紹介してくれた人でもある。
俺より九つ上の彼女は現在二十五歳だった。
「そう、恋! 一人の女の子が気になるなんて成長したじゃない、この鉱石バカ」
「その言葉をそのまま返そう。お前も鉱石バカだからその年になっても未婚なんだろう」
「失礼ね!?」
ハッキリそう言ってやると、その紫の瞳を釣り上げた彼女が怒りの感情を露にする。
興味のあることにしか心を動かされない魔法使いの血が濃い俺は、興味がないことでは心が動かず表情も変わらないためくるくる変わる彼女のその表情が興味深かった。
「その女の子、いくつなの? 一緒に住むことになったのよね、同棲ってやつ?」
「同棲ではない、共存だ。あとリリアナの年齢だったか」
「リリアナちゃんっていうんだぁ。同棲って言われるのが恥ずかしいの? いいわねぇ、甘酸っぱぁい!」
「十歳」
「待ちなさい」
リリアナの年齢を聞いたレベッカががしっと俺の肩を掴む。
“質問に答えただけなんだが”
わけがわからず首を傾げると、何故か少し青ざめたような表情で俺の顔を覗き込まれた。
「攫ったんじゃないわよね」
「攫うの意味がわからん」
「気になった女の子をどこからか無理やり連れて来たんじゃないわよね?」
「いや興味なんてないが」
ない、と断言しようとした俺は、だが多少なりとも興味を惹かれたことを思い出して。
「さっきのは訂正だ。リリアナに興味を惹かれたのは違いない。だが、俺の意思で連れて来たんじゃなく勝手にあいつの母親が置いて行ったんだ」
「そんな!」
さっきまで青ざめていた顔が今度は一気に悲壮感を漂わせる。
「まぁ、相手が十歳だとしても年齢差は六歳だし……許容範囲かしら」
「許容範囲?」
「でも手は出しちゃダメよ! お姉さまとの約束だから」
そして勝手に納得したらしいレベッカがパァッと表情を明るくして次の鉱石を掘るべく持ち場に戻っていった。