ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
やはり彼の境遇についてそれ以上思うことは無かった、の、だが。
「おかえりなさい! 今日は何をしましたか?」
「ただいま」
仕事から帰ると俺を出迎えるリリアナ。
甲斐甲斐しく俺の荷物を受け取った彼女と共にリビングへ入るとすでに晩御飯が用意されていた。
“これが家族ってやつなのか?”
毎日用意されているそれらに少し心が動くのは、今日の昼食時のレベッカとのやり取りを思い出したからかもしれない。
「そういえば、この国の王太子が決まったそうだ」
「王太子?」
「あぁ、次の王様だな。確かゲロディ……ベロダンディ……バルディ、わからん、なんかそんな名前の奴だった」
話し出したはいいものの、やはり興味がなかったせいでちゃんとは覚えていなかった俺がそれっぽい名前を口にする。
臣下なら無礼だと怒ったかもしれないが、ここには興味のあるものにしか心動かない魔法使いと魔女しかいないのだ。
リリアナが何に興味を持つのかはわからないが、興味のない話なんて話半分で十分で、王子の名前が思い出せないことなんて些細な事だと思っていたのに。
「メルヴィ……?」
「は?」
俺の口にしたどの名前とは違う名前を口にしたリリアナに唖然とする。
“知っていたのか?”
確かにこの国に住んでいるのだから耳にする機会はあるだろうが、俺よりも街へ行く機会のない十二歳の彼女。
そんなリリアナが王子の名前を口にしたことで違和感を覚える。
ますます興味を惹かれた俺は、観察するようにじっと見つめていると、まるでじわりと霞むようにリリアナが揺れたと思ったら深刻そうな顔をしていた彼女の顔が一気に能天気な表情へと一変した。
“魔法か!”
初めて会った時、彼女に残った魔法の痕跡。
その痕跡が今も残っているどころか、今も継続した魔法だということに驚愕した。
「どれだけ強く願ったらそんなことになるんだ」
彼女のトリガーはきっとこの国の王子。
実際どんな因果関係がリリアナとその王子との間にあるのかはわからなかったが、それでも俺は確かに興味をそそられたのだった。
「おかえりなさい! 今日は何をしましたか?」
「ただいま」
仕事から帰ると俺を出迎えるリリアナ。
甲斐甲斐しく俺の荷物を受け取った彼女と共にリビングへ入るとすでに晩御飯が用意されていた。
“これが家族ってやつなのか?”
毎日用意されているそれらに少し心が動くのは、今日の昼食時のレベッカとのやり取りを思い出したからかもしれない。
「そういえば、この国の王太子が決まったそうだ」
「王太子?」
「あぁ、次の王様だな。確かゲロディ……ベロダンディ……バルディ、わからん、なんかそんな名前の奴だった」
話し出したはいいものの、やはり興味がなかったせいでちゃんとは覚えていなかった俺がそれっぽい名前を口にする。
臣下なら無礼だと怒ったかもしれないが、ここには興味のあるものにしか心動かない魔法使いと魔女しかいないのだ。
リリアナが何に興味を持つのかはわからないが、興味のない話なんて話半分で十分で、王子の名前が思い出せないことなんて些細な事だと思っていたのに。
「メルヴィ……?」
「は?」
俺の口にしたどの名前とは違う名前を口にしたリリアナに唖然とする。
“知っていたのか?”
確かにこの国に住んでいるのだから耳にする機会はあるだろうが、俺よりも街へ行く機会のない十二歳の彼女。
そんなリリアナが王子の名前を口にしたことで違和感を覚える。
ますます興味を惹かれた俺は、観察するようにじっと見つめていると、まるでじわりと霞むようにリリアナが揺れたと思ったら深刻そうな顔をしていた彼女の顔が一気に能天気な表情へと一変した。
“魔法か!”
初めて会った時、彼女に残った魔法の痕跡。
その痕跡が今も残っているどころか、今も継続した魔法だということに驚愕した。
「どれだけ強く願ったらそんなことになるんだ」
彼女のトリガーはきっとこの国の王子。
実際どんな因果関係がリリアナとその王子との間にあるのかはわからなかったが、それでも俺は確かに興味をそそられたのだった。