ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
3.その感情に名を付けるなら
告げられた言葉の意味がわからない。
魔法使いの俺が同じ場所に留まっているのに、人間のレベッカがこの国を出る?
まるで違う国の言葉で話しているのかと思うほど彼女の声がただただ通り抜ける。
「なんで……」
「新しい鉱脈が発見されたの! 新しい鉱石もあるかもしれないわ。だから私はそっちに行こうと思って」
「俺を」
置いて行くのか、なんて。
“ただの同僚に言っていい言葉ではない、か”
楽しそうに笑う彼女は、新しいその場所へ思いを馳せているのかキラキラと輝いて見えた。
対して俺の足元にはドロリとした黒いもやが絡みついたように重苦しい。
レベッカが行ってしまう。
いつ?
なんで?
どうして俺にもっと早く言ってくれなかったんだ?
相談してくれていれば――なんだったのだろう。
引き留めたのか、背中を押したのかすらわからない。
ただの同僚に許される距離感はどこまでなのか、そんなこと今まで一度も考えたことがなかった俺は、今自分の中を占めるこの絶望がなんなのか理解できる気がしなかった。
魔法使いの俺が同じ場所に留まっているのに、人間のレベッカがこの国を出る?
まるで違う国の言葉で話しているのかと思うほど彼女の声がただただ通り抜ける。
「なんで……」
「新しい鉱脈が発見されたの! 新しい鉱石もあるかもしれないわ。だから私はそっちに行こうと思って」
「俺を」
置いて行くのか、なんて。
“ただの同僚に言っていい言葉ではない、か”
楽しそうに笑う彼女は、新しいその場所へ思いを馳せているのかキラキラと輝いて見えた。
対して俺の足元にはドロリとした黒いもやが絡みついたように重苦しい。
レベッカが行ってしまう。
いつ?
なんで?
どうして俺にもっと早く言ってくれなかったんだ?
相談してくれていれば――なんだったのだろう。
引き留めたのか、背中を押したのかすらわからない。
ただの同僚に許される距離感はどこまでなのか、そんなこと今まで一度も考えたことがなかった俺は、今自分の中を占めるこの絶望がなんなのか理解できる気がしなかった。