ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 おそらくそういったおっちょこちょいな人の為に用意しているだろうドレスたちは、もしかしたら過去の王妃様や王女様たちのお下がりかもしれないし、そういった人たちの為だけに新しく購入されたものなのかもしれない。

 王城で出されるドレスが型落ち品だとは思えないし、と考えながらはぁ、とため息を漏らす。


“楽しくない”

 
 私に与えられた部屋は所有者の好みで好きに色付けられる、所謂『真っ白な部屋』だったのだろう。
 
 適当に開けた豪華な部屋の内装は、私に与えられた部屋とは違い各部屋ごとにコンセプトが決まっているのか見るだけでも楽しい……はずなのに、何故か全然わくわくしなかった。


「つまらないな……」

 そんな言葉が私から漏れる。
 普段なら絶対気になるものがいっぱいなはずなのに、と思ったよりも上がらないテンションを不可思議に思いながら廊下を適当に歩いていた時だった。
 

“何かしら、ここ”

 その廊下の奥まった突き当たり。
 パッと見では気付かないような、どこか素朴でこぢんまりとした雰囲気のある小さめの扉。
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