ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 ここに来るまでに来た石鹸のお店も気になるし、他にも見かけたお店だって気になっていた。
 折角私付きになってくれたのだから、もっと仲良くなりたいのも本心で。

“それに買い食いだってしてみたいけど”

 露店に並んでいた美味しそうな品々。
 誰かと買って食べたらとても美味しいだろうとそう思うものの、それらはメルヴィにはフランクすぎる。

“そりゃメルヴィと行けたら楽しいかもしれないけれど――”

 そう思ったからこそ、エッダを誘ったつもりだったのだが。

 
「初めて行くならば、その初めての相手は俺がいいんだが」
「え」
「だからどうしても行きたいと言うのなら」
「メルヴィが一緒に行ってくれるの!?」
「ッ」

“外出自体に難色を示していた訳じゃなかったのね!”

 メルヴィが一緒なら絶対楽しい。
 根拠のない自信が私の中にあり、思わずうきうきと喜んでしまった。


「あ、でもエッダ……」
「それは次回にして」
「!」

 しかも、どうやら次回の外出許可もくれたようで。

“つまりメルヴィも一緒に出掛けたかったってことなのね”
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