ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

6.戻れなくても、知りたい先へ

 部屋で待っているかと思っていたエッダだったが、いつの間にか私を追いかけて執務室の扉の近くに控えてくれていた。

 そんな彼女に謝罪をし、まず先にメルヴィと街へ行くことを報告する。

 私の報告を聞いたエッダは、やはり嫌な顔などせずにこりと微笑み『もう少しお部屋の隅々まで掃除しておきますね』と言ってくれた。


 ちなみにこれは余談だが、メルヴィが街に行くと言い出した時、彼の側近らしき人は思い切り嫌そうに顔を歪めていて。

“仕事、押してるのかしらね……”

 そうでなかったとしても王太子のお出かけだ。
 護衛の問題などもあるだろう。

“悪いことをしちゃったかも”

 申し訳なく思った私は、こっそりエッダの他に彼にもお土産を買ってくることを決意したのだった。


 そんなこんなでやって来た城下町。
 
 私……はともかく、メルヴィはそのままの服だと目立つからとシンプルな白いシャツと黒のスラックス、少し大判の布を上着のように羽織っていて。
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