ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「仲良しそうだね、新婚夫婦かい?」
「ふへっ!?」

 店主に突然そう声をかけられた私が思わず変な声で返事をしていると、すかさずメルヴィがにこりと笑った。

「はい、そうなんですよ」
「ひはっ」
「そうだよね、服もお揃いだしねぇ」

“わ、わかってる、ここで変に否定すると話がややこしくなるって……!”

 だからだ、とわかっているのにあまりにも自然に肯定されたせいか私の鼓動が跳ねる。


「折角だから何か買っていこう」
「えっ、あ、うん」
「お、毎度あり!」

 メルヴィの提案に頷いた私は、ごほんと咳払いして改めて商品を見渡した。

“可愛いからこれをお土産にしようかな”

 ぷるぷると揺れる少し不思議な石鹸や、まるで宝石のような加工がされている石鹸と見ているだけでも楽しいそれらをじっと眺めて。

「じゃあ、これとこれにするわ」
「ん、じゃあそれぞれ包んで貰えるかな」
「はいよ」

 私はエッダに黄色い花を模した石鹸と、メルヴィの側近の人にはカモミールの香りがついたシンプルな見た目の石鹸を一つずつ選んだのだった。


 お店を出て、メルヴィも小さな袋を抱えていることに気付く。
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