ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

7.重なるのは少しだけ

 ちゅ、ちゅと何度も重ねられる唇。
 掠めるようになぞり、食むように唇を唇で挟まれた。

「ん、んはっ」

 小さく吐息が漏れる。
 はじめて行う口付けは私の心臓を痛いくらいに跳ねさせて。

「リリ……」
「っ」

 名を呼ぶその少し掠れた声が、吐息が私の唇を震わせた。

“こんなの、知らない”

 優しい口付け。
 繰り返し押し付けるように重ねられ、そのはじめての感覚にゾクリと反応してしまう。

「メルヴィ、もっと」

 彼らはもっと深く求め混じりあっていた。
 表面を重ねるこの口付けも心地いいが、それよりももっと飢えて見えた。

“私も”

 そんな私の気持ちが伝わったのかもしれない。
 唇を離したメルヴィが、ペロ、と自身の唇を一舐めして。


「んんっ」

 すぐにまた重ねられた唇。その唇を割るように彼の舌が隙間をなぞった。

 くちゅ、と小さな音を立てながらメルヴィの舌が私の口内へ入れられる。
 そのまま歯列をなぞられると、ぞわりとした快感が背筋を走った。


「リリ、口を開けて」
「ん、んっ」
「そのまま舌を出せる?」

“舌を……”
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