ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
“まだまともに使えたことないんですけど”

「嘘じゃない。言ったろ、お前は集中力が足りてないだけだ」
「そんなこと言われても」
「不完全な発動になるのは、興味が逸れて願いがぶれるからだ。ひとつのことに集中すれば使いこなせる」

 思わずむくれる私の額を軽くつついた師匠は、見た人を惑わせるような妖艶な笑みを浮かべて。


「出来るまで帰ってくるの禁止だから」
「師匠も留守にするのに!?」
「この家は封鎖だ。これくらい切羽詰まらないとお前成長しねぇだろ」
「横暴!」


 私は唐突に帰る家を失ったらしかった。
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