ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

9.それ、勘違いってやつじゃない?

“つまり、メルヴィがドキドキして私に触れてきたらいいってことよね?”

 起きた時は気恥ずかしいから、と顔を合わせることを抵抗していたくせに、好奇心を刺激されたからか今ではむしろ彼に近付きたくて仕方ない。

 腕を掴む指に少しだけ力を入れて、さっきよりも半歩彼の方へ近付くとふわりとした笑顔が向けられる。 

 早鐘を打つ心臓も、落ち着かないけれど心地良いのは私の好奇心が満たせるから――……


“側にいると胸の奥が温かくなるのも、ちょっとした優しさや気遣いが嬉しいからよね?”

 そんな答えのない自問自答を繰り返していると、気付けばまるで迷路のような場所についていた。

 私の背より少し高く切り揃えられた一面の植木。
 色とりどりの大輪の花が飾られているアーチ状の入り口。
 そのアーチを通り植木の中へ入ると、どこに辿り着くのだろう?


「すっごい、ここ、何……!?」
「それを確かめに行かない?」
「行く!」

 そんなわくわくとする場所を前に好奇心を抑えられない私は、絡めていた彼の腕からするりと手を抜き去って。

「ほらっ! 早く早く、メルヴィ!」
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