ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「これ、ここ!」

 そんな緑の壁の丁度私の目の高さに少しだけ、葉の形が違う緑が混じっていることに気が付いた。

「実は突き当たりにはそれぞれ薬草を植えてるんだ」
「薬草」

“王城って薬草推しなのかしら”

 王城についてすぐに案内されたのも薬草畑だったことを思い出しそんなことを考える。

 手を繋いだまま二手に分かれていたところまで戻り、今度は反対の先へ進んだ。

 行き止まりへ着く度に種類の違う薬草が植えてあることが段々面白くなってきた頃、目の前には入り口で見たようなお花のアーチが現れて。
  

「ここがゴールね!」

 きっと今私の表情はひとつの答えを目の前にキラキラと輝いていることだろう。
 その輝きは、すぐに曇ることになったのだが。


「……また薬草畑?」

“どんだけ薬草推してくるのよ!?”

 行き止まりで薬草を見つけ、ゴールでまた薬草を見つけるこの現状。
 特別なゴールを求めていた訳ではなかったが、また薬草畑に辿り着くとは思わず流石に少し項垂れてしまった。

 私が少しガッカリしたことに気付いたのだろう、隣にいたメルヴィが少し焦りながら私の顔を覗いてきて。

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