ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「リリの好きなものに植え替えるけど」
「別にそこまでしなくてもいいって、それにこれも誰かが目的あって植えたものだろうし」

 ここまで頑なに薬草推しを貫いている王城だ。
 無意味に植えたものだとは思えずそう答えると、少し気恥ずかしそうにメルヴィが頬を掻く。


「俺が植えるように指示したものだから、何に替えても問題はないよ」
「え、メルヴィが?」

“この薬草畑を……?”

 言われた言葉が脳内に反響する。

“そういえば、メルヴィが案内してくれたあの小部屋にも薬草の本があるはず”

 この目ではまだ確認していないが、確信があった。

 植えられた薬草。
 置かれた薬草の本。
 設置されていたベッド。

 それらから導き出せる答えに、私は心臓をすり潰されたような錯覚を起こす。


「メルヴィ貴方、どこか悪いのね!?」
「へ?」
「どこなの、あそこに植えてあるのは湿布を作る薬草よね? あっちは頭痛を抑える薬草で……あーっ、詳しくないせいで病状が何も推測できないわ!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて、リリっ」
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