ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
“あんな細い棒に跨がってバランスを取るの、とんでもなく難しいんじゃないかしら”

 飛ぶなら椅子だとか、ソファだとかの方がバランスが取れていい気がするが――

「でも、だからこそ面白そうかも」

 空を飛びたいと願ったことはなかった。
 けれど、水に葉が浮かぶように宙に浮かぶことが出来るかもしれない。

 何より、箒という細い部分に乗って飛ぶというあえて難易度を上げるような行為。
 
 
 気になる、あえてその細い棒を選び空を飛べるのか……!


 もやもやしていたことなんてコロッと忘れ、エッダの話に興味を持った私は勢いよくソファから飛び降りた。


 エッダに箒を借りた私は、早速ドレスのスカートをたくしあげて跨がって。

「ひっ、リリアナ様っ、足が出て……!」
“やっぱりバランス取るの難しいわね”

 跨がって改めて思うが、やはり箒の柄部分は座るために作られていない。
 座る、というよりもめり込ませるような気持ちで必死にバランスを取りつつ全力で願う。

「浮かびたい、私も飛びたい、飛んでみたい……!!」

 その願いがシンプルだったからだろうか。
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