ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 ちょっと無理やりだがそう自分に言い聞かせた私は、よたよたと体を少しずつ傾けて角度を変えた。

「扉を開けてちょうだい!」
「そのまま出掛けられるのですか!?」
「少し進んでみるだけっ、お城からは出ないわ」

 私の言葉を聞いたエッダが、少し躊躇いつつも扉を開けてくれる。
 開かれたその扉の先に見える廊下へ、ゆったりゆったりと進みながら出た私は、長い廊下の先を見据えて。


「折角だから、メルヴィの執務室を目指すわ!」

 そう宣言し、アシスト代わりに少しだけ地面を蹴って再び箒に跨がって。


「あっ、リリアナ様……!」
「ひぎっ、あぁぁぁあッ!!?」

 思ったよりも蹴った力が強かったせいか、想定よりも数倍速く進み叫び声を上げた。


“やばい、まずい、怖い……!”

 地面を蹴った時、無意識に速く飛びたいとか願ってしまっていたのだろう。

 箒は失速するどころかどんどん速さを増してしまって。


「ろ、廊下っ、長くて、良かっ……!!」

 王城の長すぎる廊下に感謝しつつ箒に必死にしがみつく。
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