ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
高さ自体はないのだ、まだ見えないがいつか必ず来るであろう突き当たりに真正面から突撃してしまう、その前に。
“なんとか箒から手を離し地面にダイブすれば軽い擦り傷で収まるはず……!”
これ以上加速してしまう前にこの決断をしなくてはならない。
それはわかっているがどうしても怖さが勝ってしまい、なかなか手を離す決心がつかない私は、その恐怖からか視界がじわりと滲むのを感じた。
「リリアナ!」
「!」
突然呼ばれた名前にハッとし顔を上げると、少し先に明るい茶色が飛び込んで。
“メルヴィ!”
それはほぼ反射だった。
あんなに離すことが怖いと感じていた箒からあっさり手を離した私は、そのままメルヴィに向けて両腕を広げて。
「ぅぶっ」
「ッ」
主を失った箒は呆気なく落ち、カランという乾いた音を廊下へ響かせて。
「痛いところはない?」
「思っていたよりメルヴィの胸筋が硬かったから少し鼻が痛いかも」
「うーん、それは俺、喜ぶとこ?」
そして私自身はというと、しっかりメルヴィが抱き止めてくれたお陰で床に叩きつけられることもなく、彼に抱き抱えられていた。
“なんとか箒から手を離し地面にダイブすれば軽い擦り傷で収まるはず……!”
これ以上加速してしまう前にこの決断をしなくてはならない。
それはわかっているがどうしても怖さが勝ってしまい、なかなか手を離す決心がつかない私は、その恐怖からか視界がじわりと滲むのを感じた。
「リリアナ!」
「!」
突然呼ばれた名前にハッとし顔を上げると、少し先に明るい茶色が飛び込んで。
“メルヴィ!”
それはほぼ反射だった。
あんなに離すことが怖いと感じていた箒からあっさり手を離した私は、そのままメルヴィに向けて両腕を広げて。
「ぅぶっ」
「ッ」
主を失った箒は呆気なく落ち、カランという乾いた音を廊下へ響かせて。
「痛いところはない?」
「思っていたよりメルヴィの胸筋が硬かったから少し鼻が痛いかも」
「うーん、それは俺、喜ぶとこ?」
そして私自身はというと、しっかりメルヴィが抱き止めてくれたお陰で床に叩きつけられることもなく、彼に抱き抱えられていた。