ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける

11.覚悟して

「それ、本気で言ってるの」
「え?」

 さっきまでの甘い雰囲気が、一気に冷えた気がしてビクリと体が強張る。

 そんな私をそっと下ろしてくれたメルヴィは、けれども逃がす気はないようでそのまま私の腰に腕を回し、グイッと引き寄せるようにして執務室へと足を踏み入れた。

 突然連れ込まれたせいで呆気に取られていた私は、すぐに執務室の中をキョロキョロと見渡す。

 てっきりこの間渋い顔をしていた彼の側近だろうあの男性がいると思ったのだが、予想に反して執務室には誰もいないようだった。


“良かった”

 思わず私がホッと息を吐くと、安堵している私を少しだけぽかんとした顔の彼が見る。

 そしてすぐに深いため息を吐いたメルヴィは、進んでいた方向から急な方向転換をしてソファへと誘導した。


「あの先には何があったの?」

 彼が私を連れて行こうとしていた先が気になりそう質問すると、少し拗ねた表情をしたメルヴィが口を開く。

「ベッド」
「ベッド……」

 あっけらかんと告げられたその単語をぼんやりと繰り返した私は、すぐにその言葉の意味にたどり着き顔が湯だった。
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