ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「抑えられない好奇心、か。なら、俺はもう遠慮しない。本当は好きじゃないと言われないよう、リリに刻むくらい愛を囁くから」

 しれっとそんな宣言をしたメルヴィは、さっきまでの少し拗ねた表情をどこか意地悪そうに口角を上げて笑って。


「だから、覚悟して」
「んんっ!」

 くすりと笑みを溢したメルヴィが、私の唇を奪うように口付けをした。

“刻むって、こういう……!?”

 まるで獰猛な獣が目の前で舌舐りをするような、ギラギラとした視線を向けられる。
 私がその獣にとって、何に変えても食べたいくらいのご馳走だとすれば。

“それは、嬉しいかもしれないわ”

 この間の行為の先に興味がないわけではない。
 けれど進む相手が誰でもいいのだとはもう思えないから。


「メルヴィ……」

 ポツリと呟くように目の前の獣の名を呼ぶ。
 そして名を呼ばれたその獣は、口元をにたりと歪ませて――


「よし、じゃあリリの部屋の家具は全て紺色にしよう」
「……はいっ!?」


 意味がわからない結論を弾き出していた。


 
“なんでこうなったの!?”
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