【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。
◎恋愛未経験×御曹司


 えっ……?

「キスする時は、目を閉じるものだよ、奏音」

 百合原さんは、そんな私を見てニヤリと微笑んでいた。

「さ、最低……!!」

 き、キスされた! よりによって、ファーストキスをこんな変態男に奪われた……!

「な、な……なんで、キスッ!」

「そういう反応するんだ、かわいいね、奏音」

「ば、バカにしないで……!」

 私のファーストキスは、一生誰にも奪われることもないと思っていた。 奪われたくもなかったのに……。
 よりによって、こんなヤツに奪われてしまった。

「ファーストキスの感想は?」

「か、感想って……!」

 な、なんなのよ……!! この人、やっぱり変態!

「初めてのキスの相手が俺ってことは、もうこれは俺と恋愛するって決まったようなものだよな」

「か、勝手に決めないでくださいっ」

 キスされたからって私は、この人と恋愛なんてするつもりはない。 

「奏音のファーストキスの相手は俺だって、自慢していいからな」

「そ、そんなことしません!」

 もう、本当に意味が分からない。ただスマホの充電器を貸しただけなのに、キスまでされることになるなんて。

「てことで奏音。俺が奏音の恋愛相手に、なってやるよ」

「はっ……?」
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