【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。


「……やっぱ、変わってますね」

「そうか?」

 奏音は膝を抱えて座り直すと、「変わってます。 百合原さんみたいなカッコイイ人なら、他に素敵な人がたくさんいそう、なのに……」と言ってきた。

「へえ、奏音も俺のこと、カッコイイって思ってくれてるんだ?」

「っ……!」

 驚いた奏音は立ち上がると、「いや、あの、これは、違います!」と全力で否定する。

「違うって、何がだよ」

「いや、あの……。違くはない、ですけどっ……」

 顔を真っ赤にする奏音のことを、俺はとんでもなくかわいいと思ってしまった。
 こんなにウブで恥ずかしがり屋の奏音が、とてつもなくかわいいと。

「そっか。俺のことカッコイイって思っててくれてるって知っただけで俺は嬉しいよ」

「……そうやってからかわれるの、私嫌いです」

 このセリフは、会った初日の日に確か言われた。からかうつまりもないし、そんなつもりも俺にはなかった。

「からかってるつもり、俺はないけど」

「……え?」

「俺はいつだって、本気だって言っただろ?」

 奏音の手を引いて俺の前に座らせると、俺は奏音の唇を再び奪ったーーー。

「これで分かっただろ?俺の本気」

 いつか奏音は、俺を好きになるのだろうか。



【久遠目線】
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