【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。
【エクレール・ショコラ・ドゥ】
そこは有名な洋菓子店で、洋菓子の頂点を競うコンクールで、見事に金賞を受賞したガトーショコラが大人気の洋菓子店だ。
まさか百合原さんが、そこの息子さんで、御曹司だったなんて……。
しかも有名な洋菓子店の御曹司……。びっくりし過ぎてしまう。
なんであんな御曹司さんが、私なんかに……。まるで正反対、そして絶対に釣り合わない。
釣り合う訳もないし、そんなのは困ってしまう。釣り合わないって分かってるからこそ、これ以上関わるべきではないと悟ってしまった。
私は百合原さんと今すぐこの関係を断つべきだ、そう思ってしまったのは事実だった。
百合原さんはそんなことを気にすることないと言ってくれていたけど、気にしないなんてことは出来ない。
そもそも生きる世界が違うのに、そんな正反対の二人が恋をするなんてことは、あり得ないってことだと思った。
多分私は、罪悪感や後悔に苛まれて生きていかなければならない。 そんなの……無理だ。
今すぐこの関係を終わりにしなければ……。今ならきっと、引き返せる。
そうすればきっと、後悔などせずに生きていけるはずだから。
何もなかったと思えば、それだけで楽になる。