【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。


 でも確かに、百合原さんのことで頭の中がいっぱいになっていると言えば、そうなのかもしれない。
 気が付いたら私は、百合原さんのことを考えている。そう思いたくはないけど、実際にそうなんだと思う。

 今年のクリスマスは……私、一人じゃないんだよね。今までずっと一人だった私は、クリスマスを誰かと一緒に過ごすことなんて考えたこともなかった。
 誰かと一緒に過ごすことなんて、これから先もないと思っていた。 そんな私と一緒に過ごしたいと言ってくれたのは、百合原さんだけだった。

「私なんか……」

 私なんか、百合原さんに釣り合う訳はないのに。どうしてこんな私なんかのことを好きだって言ってくれるんだろう。
 私のどこがいいのか、全然分からない。

 だけど私は、百合原さんのことを嫌いじゃないから、だから一緒にいるんだと思う。
 嫌いじゃない……と思う。 好きなのかと言われると、分からないけど。

 でも百合原さんは、私の初恋を奪いたいと言った。それに、奪う気満々だった。
 私はそんな百合原さんのことを、どう思っているのだろうか。

「でも……」

 でも……ついさっき彼と会ったばかりなのに、もう会いたいと思ってしまうのは、なぜだろうか。
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