【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。


 クリスマス……。私、百合原さんと一緒に、本当は過ごしたい。
 そう思っているんだと思う、自分でも。 
 こんなことを思うなんて……。私、どうかしてるのかな。

 それから私の心は、ずっとモヤモヤしていた。何をしても心がぽかっと穴が空いたような、そんな気がしていた。
 百合原さんから連絡が来るたびに、モヤモヤしてしまって、うまく返事を返せなかったりした。
 電話もするし、一緒に出掛けたりもするけど、私はその度に申し訳なくなってしまった。
 
「奏音、もしかして……まだ俺とのこと、気にしてる?」

 そう聞かれて私は、俯いてしまう。

「……正直、気にしてないと言えば、ウソになります」
 
 そんな私を抱き寄せた百合原さんは、私の頭を撫でながら「そんなこと、気にしなくていいって言ってるだろ。……俺は自分の地位とか、そんなこと本当に気にしてないから」と優しく言葉をくれる。

「それでも私は……気にしてしまうんです。 私が百合原さんと一緒に歩いてても、周りの人の視線がどうしても気になって、しまうんです……」

 気にしなくていいと言ってくれるのは嬉しいのに、もう一人の自分がそれを阻止してしまうんだ。
 もう一人の私が、それを邪魔する。
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