【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。
百合原さんからそう言われた瞬間に、私はそこで確信した。
私は、百合原さんのことが……好きだ。
「百合原さん……」
思わず履いているスカートの裾をぎゅっと掴んでしまう。
「奏音……? 大丈夫か?」
「あの、私……」
好きだと伝えることって、こんなに難しくて、こんなに恥ずかしいんだなと思った。
私はやっぱり臆病……なんだ。
「奏音、ごめん。……迷惑、だったよな」
私は百合原さんにそう言われて、思わず「ち、違います……!」と声を出してしまった。
「え……?」
「あの……その、違くてっ……」
「違うって?」
「迷惑……なんかじゃ、ないです」
この一言を言うだけなのに、とても緊張する。声が震えてるし、今の私は、百合原さんの顔を見ることが出来ない。
「迷惑、じゃなくて……その、嬉しいんです」
「え……?」
「そう思ってもらえるだけで……嬉しいんです。 私……百合原さんのこと、好きみたい、で……」
言葉を絞り出すのって難しい。何より、うまく伝えられなくて、声が震えちゃう。
「えっ……。奏音、今、なんて……?」
「あの……す、好きです。百合原さんのことが……」
言っちゃった。ついに、言ってしまった。