【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。


 私は久遠さんと、正式にお付き合いを始めた。久遠さんのことが好きになってから、私の日々は変わった。
 毎日が楽しいなと思えて、色のない世界に色が付いたみたいな、そんな感じだ。

「奏音、寒くないか?」

「寒いです。……でも久遠さんと一緒だから、寒さも和らぎます」

「よかった」

 もうすぐ、クリスマスがやってくる。 初めて、好きな人とクリスマスデートをする。
 クリスマスにデートなんて、初めてで緊張してしまいそうになる。

「奏音、イルミネーション、キレイだな」

「はい。 キレイです、とても」

 久遠さんと一緒に見るイルミネーションは本当にとてもキレイで、このキレイさが心に染み渡る。

「奏音とだから、よりキレイに感じる」

「え……?」

 久遠さんが繋いでくれるその手が本当に温かくて、幸せだと感じる。

「奏音、俺のこと……好きになってくれて、ありがとう」

「……こちらこそ、好きになってくれて、ありがとうございます」

 こんな人に好きだと言ってもらえて、私は本当に幸せだ。

「奏音、抱きしめても……いいか?」

「……はい」

 寒空の下で抱きしめられることがこんなに幸せって、思えた。

「奏音の背中、暖かいな」

「久遠さんも……暖かいです」
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